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2011年12月8日

アニメ制作を目指す学生へ 新海監督と声優金元さんが講演

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 アニメーション制作現場の最前線に立つ2人が、クリエイターを目指す学生たちへメッセージ─。アニメーション監督の新海誠さんと声優の金元寿子さんを迎えての講演会が、神戸市東灘区の専門学校アートカレッジ神戸で開かれました。声優学科やアニメーション学科などの生徒約200人を中心にした講演は2時間以上に渡りました。いまもえ制作委員会が講演の模様を報告します。

 

普段のイベントとは違う、静かで熱い会場

今年5月に公開された新海監督の『星を追う子ども』は、前作『秒速5センチメートル』以来4年ぶりとなる「本格ジュブナイル・アニメーション」作品です。アートカレッジ神戸の卒業生であり、『侵略!?イカ娘』のイカ娘役としても注目されている金元さんは、『星を─』で初めて劇場アニメの主演を務めました。

 

新海誠監督

講座の前半は、新海監督自身によるアニメーション作品のメイキングと解説です。ステージ中央に設けられた大型スクリーンには『星を追う子ども』で使われた「イメージボード」(脚本を元に、世界観やキャラクターの容姿などを描いたもの)や、「絵コンテ」(コマ割りや演出など、映像制作のための設計図)から実際の映像がどのように完成したかを比較させて映しました。

比較すると面白い

そしてアニメーターの仕事に解説が移ります。「キャラクターデザイン」では、喜怒哀楽といった表情だけでなく、スカートの動きから、ほとんど映像には出てこない靴裏に至るまで事細かく設定されていました。

監督自身による解説に学生たちも集中

新海監督の作品で特徴的なのが、精密かつ美麗な「背景(美術)」です。実写の映像や画像を元にアニメ用の背景が作り上げられていく様や、遠方で日にあたり照らし出される街並みなど、実演を交えて説明されます。特に空に浮かぶ雲の細かいパーツ一つ一つが切り離され、自由に移動し形を変える様には学生たちから感嘆の声があがりました。

 

 

金元寿子さん

後半は金元さんも登壇しトークショー。約1年ぶりとなる新海監督との再会や、母校への凱旋ということもあり緊張気味にもみえましたが、随所に仕事への真摯な姿勢が感じられました。

新海監督が聞き手、金元さんが話し手の構図に

オーディションで金元さんをアスナ役に決めた理由について、新海監督は「候補者の中で一番控えめな感じがあり、キャラクターのイメージにマッチした」と話すと、金元さんは「性格的なところもあるし、声優としての実績もなかったので」と苦笑いを浮かべていました。話す仕事を目指したきっかけについて「人前で話すことに自信がなかったので、弱点を克服したいという気持ちは強かった」と語る金元さんに対し、新海監督は「元々声優を目指していなかったというのは勇気づけられるエピソードかも。僕もアニメーション監督になろうと決めたのは遅かった」とコメント。学生たちに無限の可能性を示唆してくれたような気がしました。

制作現場の緊張感が伝わる

途中では『星を追う子ども』のメイキング・ドキュメンタリーより、アフレコの部分が上映されました。ガラス戸のさらに奥にあるブースで指示に従い、30分間おなじ台詞を繰り返すこともあるという声優。そして演技を聴いて監督のイメージも汲み取り、適格なアドバイスを送る音響監督。映画館で作品を鑑賞するだけでは想像のできないような、地道でプロフェッショナルな現場があるのです。印象的だったのは、3日間のレコーディングを一通り終えてから、金元さんだけに劇中最後の台詞を再録させたシーンです。「これまで録音した台詞を全部飲み込んだ感じでお願いします」という音響監督に応える金元さん。アスナとして会心の演技に、新海監督が納得というより喜びの表情を浮かべていました。

 

                          ◇             ◇ 

学生からの質問に丁寧に答える2人

最後に会場から質疑応答を受けました。アニメーション学科の生徒から「“イメージが天から降ってくる感覚”になることがありますか」と訪ねられると、新海監督は「『ほしのこえ』ではイメージがはっきりとしていたので、あらかじめ立っている標識を追う感覚がありましたが、最近では標識を立てて進んでいく感じです」と答えていました。声優学科の生徒からは「それぞれの製作現場によってどのような違いがありますか」という質問があり、金元さんは「レコーディングの順序や段取り、修正するタイミングなど、作品ごとに違います。また学校では習わず、現場で気づかされることがとても多いです」と話しました。

 「この機会に金元さんと再会し、生徒さんにお話しすることができてよかった」と新海監督。金元さんも「監督と話す機会は普段なかなかないこと。今ここにいる生徒さん達と立場は大きく変わらないので、刺激を受けました」と締めくくりました。

 新海監督は12月中に新作として、短編の映像作品を公開するとのこと。また金元さんが主役を務める、2期目の『侵略!?イカ娘』は放送中です。今後のお2人の活躍に益々目が離せません。

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