お知らせ/一覧

トップページ  > 聖地巡礼/一覧

2012年2月7日

『サードガール』聖地巡礼・北野町編

Share on Facebook

 

サードガール聖地巡礼マップ北野町編

『サードガール』と聞いて、「懐かしい」と思われる方も多いでしょう。掲載誌を変えながら1984年から1994年まで続いた漫画です。神戸の人にとっては、「震災前」の神戸をまぶしく想起させる作品かもしれません。

 

舞台は神戸─。大学生の時から付き合い始め、卒業に合わせて北野町で同棲生活を送ることになった涼と美也。そしてひょんなきっかけから涼のことを好きになった夜梨子たちの物語です。「大人の男女に女の子を加えた三角関係」と一言にしてしまうと、重たいイメージがつきまといますが、バブル時代のファッションと街を背景に、華やかに、はつらつとしたタッチで描かれています。

作者の西村しのぶさんは宝塚市出身で、作品を描きはじめた当初は、神戸の大学に通っていたそうです。作中の舞台も神戸市中央区を中心に、実在した場所が多く登場しています。ただ、連載期間が阪神・淡路大震災(1995年)の前であることから、描かれた街がその後どうなったかも気になります。それでは、『サードガール』の聖地を4回に渡って巡礼していきましょう。なお本文中の各聖地【A】~【F】の場所は、いまもえ制作委員会の特製巡礼マップをご覧ください。



はじめに「北野町編」をお送りします。涼と美也が一緒に生活を送り、作中通してメーンの舞台となっている街です。登場人物の台詞中にも当時有名だった店名やスポット名が登場し、このエリアはファンにとって特に思い入れが強いのではないでしょうか。さっそく見ていきましょう。

ストーリー順に巡っていきましょう。「Part.16 シークレッツ・トラブル・ユー」より、夜梨子たちのサーティワンはしごに美也が合流してから訪れたのは、「ContainerLand(コンテナランド)」にある【A】「クレープあんどれ」です。みんなでクレープをほおばりながら美也と涼との出会いが明かされる場面が印象的ですね。このコンテナランドですが、残念ながら現存していません。一方、クレープあんどれは北野観光案内所が入った建物の裏に場所を変えて、今も営業していました。

青色の看板が港町らしい「クレープあんどれ」=神戸市中央区北野町3丁目

ツナとポテトが詰まった香ばしいクレープをいただきながら、お店の方に伺ったところ、「コンテナランド」は18年ほど前に無くなり、跡地はシティループのバス停になっているそうです。北野のクレープあんどれ自体は30年以上の歴史があり、開店当時はクレープ専門店のさきがけだったのだとか。店内には有名人のサインや来店時のエピソードが飾られ、同じくコンテナランド時代の様子が登場する別の漫画作品を置かれていましたが、『サードガール』については知られていなかったようです。

 

 

「Part.17 タキシード・ジャンクション」にて、ひととおり買い物を終えた夜梨子と親友のたのこがソックス談義をするシーン、場所は【B】「異人館倶楽部」です。

夜梨子とたのこが立っていたカット。左奥のドアは変わっていました=神戸市中央区北野町4丁目、異人館倶楽部

異人館倶楽部の外観。あたりは住宅街で静かな佇まい

当時、異人館倶楽部の中の高級洋菓子店でお茶をすることがステータスになっていたそうです。現在でも外観はほぼそのまま残っています。異人館倶楽部はほかの場面でもワンカット登場しているので、ぜひ見つけてみてください。

 

 

北野町エリアで屈指となる名シーンの舞台といえば、異人館倶楽部のすぐ隣、【C】「旧ゲンセン邸」の端へとつながる階段でしょう。

現在は神戸華僑総会の建物になっている旧ゲンセン邸=神戸市中央区北野町4丁目

「ありすがわ」は発見できず

「Part.19 フォトジェニック・メモリー」ではこの階段を挟んで、浮気の気配にやさしく釘を刺す美也と涼のやりとりが展開されました。見比べてみると、作中では階段途中の柵がみられませんが、側道に伸びる石垣の斜め具合までそのままに描かれています。手すり越しに涼を抱きしめる美也の姿がダブってきそうですね。しかし、こんな行き止まりの階段を急に登りだしたら、涼でなくても「み…美也さん~!?」とうろたえてしまいます。

 

 

続く「Part.20 Decemberブルー」で、前の日に自分が美也のスペアではないかと電話口で漏らした夜梨子を涼が迎えに行った【D】異人館街の細道で、2人は歩きながら丸く収まり、読者を安心させてくれます。

細い路地。2人で歩けるのがやっと=神戸市中央区山本通3丁目

ウェディングやコンサートにも使える「キャセリンハウス」(旧アンダーセン邸)=同上

この場所は、とにかく見つけることが難しいスポットです。探しに探してあきらめ帰りかけたところ、偶然発見できました。こんな小道を2人に通らせたのか…。旧キャセリンアンダーセン邸の近くがヒントですので、ぜひ見つけてください。

 

 

逆にわかりやすいのは「Part.33 マイ・フェア・レディーズ」の場面です。「美百合さんたらなんでそんなに聞きわけがいいの~~~っ!?」という夜梨子のプッシュで美百合の彼氏のお見合い現場を取り押さえに向かったわけですが、その現場とされたのがこちら【E】「萌黄の館」です。

作品に登場するカットのように、「萌黄の館」を北側から撮影=神戸市中央区北野町3丁目

玄関のある西側を撮影

実際に窓越しであんなことやこんなことをしたら、つまみ出されるかもしれません。ちなみにコミックス刊行(1987年)当時は外壁が白く塗られており、「萌黄の館」ではなく「白い異人館」と呼ばれていたとのこと。なので作中の外観も白色と設定されているようです。この建物は北野の異人館の中でも特に西村さん「一等のお気に入り」なんだとか。

 


「北野といえば異人館」というイメージは強いのですが、異人館以外の背景も、効果的に登場します。分かりやすいのが【F】「RIN’S GALLERY(リンズギャラリー)」でのカットです。

「リンズギャラリー」。作中では道路が平坦に描かれていた=神戸市中央区北野町2丁目

地元で人気の「スターバックス神戸北野異人館店」も近い

「Part.51 Club Christmas」で、女子短大生となった夜梨子とたのこ、そして新たな友人とともに、クリスマスプレゼントを選ぶため北野町を闊歩する場面の背景が、姿形そのままにリンズギャラリーです。ここを前に3人が並び歩くカットは、いわば『サードガール』版アビーロードといえるでしょう。ファンの方々による写真撮影が流行りそうなスポットですね。著名な建築家、安藤忠雄氏の初期作として有名なこの建物は、作中ほかの場面にも登場しています。「Part.56 シーサイド・インデックス2」で山側から描かれているほか、言葉としては「Part.8 ガールズMADE IN KOBE」(タイトルがなんとも)で、まりをが「北野で今一番お金になるのは不動産なのよ」に至る説明で言及しています。それにしてもあまりにバブリーな話題ですよね。

 


以上は特にキャラクターやエピソードとゆかりの深い聖地を巡りました。一方、作中では他にも北野の風景を描いたカットがいくつか登場しています。

「和光ハイマート」と「ローズガーデン」は健在=神戸市中央区北野町4丁目

「和光ハイマート」は「Part.5 ピンク・ブーケ」の冒頭、夜梨子と並んで登場します。手前に描かれている「KING’S COURT(キングスコート)」は 無くなっています。

北野通りから撮影した「異人館倶楽部パート2」=神戸市中央区北野町2丁目

「異人館倶楽部パート2」は、「Part.56 シーサイド・インデックス2」で は美也、「Part.58 LOVE HONEY」では、まりをの背景に登場しています。

 

 

最後に北野町ではありませんが、徒歩ですぐ近くにある聖地を紹介しましょう。それは「新神戸駅」です。

作中の様子とほとんど変わらない「新神戸駅」の外観=神戸市中央区加納町1丁目

駅構内の柱は当時のままだが、改札や内装は変わっている

新神戸駅といえば、「Part.37 ア・リトル・オブ・ユー2」で、出身地である東京への出張から戻った涼を美也が迎えにきたシーンが思い浮かびます。改札の様子は作中と大きく変わっていますが、建物の外観や内装の様子はそのままの雰囲気を残しています。ファンにとっては、物語的にこの後の展開を考えるとほろ苦さも感じてしまいますが、せっかく北野町まで来られたならぜひ訪れておきたいスポットですね。

 

 


『サードガール』聖地巡礼・北野町編、いかがだったでしょうか。紹介した他にもいくつか北野町らしい舞台があったものの、残念ながら見つけることはできませんでした。涼と美也が同棲生活を送る「北野ルイハイツ」を発見できなかったのは心残りですが、あまり2人のプライバシーに分け入るのも野暮というものでしょう。ここは潔く、次の巡礼へ向かうことにします。



※『サードガール』はコミックスの版が複数あるため、本文ではPart表記で統一しています。
※作品は当初「サード・ガール」と表記されていましたが、中黒なしの「サードガール」に合わせました。

……………………………………………………………………………………………………..

◎クレープあんどれ
所在地:神戸市中央区北野町3丁目11-10
電話: 078-242-1720
営業時間:9:00~18:00
無休

◎北野観光案内所
所在地:神戸市中央区北野町3丁目10-20
電話:078-251-8360
営業時間:3月~10月 9:00~18:00、11月~2月 9:00~17:00
無休

関連記事: