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2012年3月28日

「仮面ライダー」聖地巡礼・有馬バトル編

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神戸港から有馬へ─。仮面ライダー、本郷猛の活躍を追ってきました。3回目は、『怪人アブゴメス 六甲山大ついせき!』の最大の見せ場であるバトルシーンのロケ地を探りましょう。


その前に、まだ特定できていなかったところがありました。木原博士を追い、アブゴメスが立ち寄った「有馬温泉ホテル」(架空のホテル)。公式ファンブックによれば場所は「奥の坊」とのことでしたが果たして…。
結論を先に言いますと、本当の舞台は「有馬グランドホテル」です。

当時の面影はないが…=神戸市北区有馬町1304-1、有馬グランドホテル

作品で映っていたホテルと見比べてみると、印象が大きく違います。しかし、ここがロケ地だと特定できた証拠をご紹介しましょう。


理由1)ホテル内、随所にある表示板が決め手に

館内の表示。趣き深い色に注目

色に注目してください。独特な濃い茶色をしています。営業統括支配人の片山哲さんは、アブゴメスの後ろに映りこんでいた表示板をみて「これは当社の社色で間違いありません」と断言。同じ色がいまも変わらずに使われているのです。


理由2)もう一つの手がかりは、ホテル内の古い階段。

吹き抜けの向こうに見える階段

手すりや敷物が決め手に

こちらの階段、お分かりでしょうか。アブゴメスがホテルのフロントにやってくる背景にあった、奥へと延びる階段です。木製の手すりや敷物の配色も、ほぼ当時から変わりありません。


有馬グランドホテルは1995年の阪神・淡路大震災で被害を受け、大規模なリニューアルが施されたそうです。ですが、この階段だけは撮影当時のままに残されていたのです。

この改装により、映像では特徴的だったエントランスも大きく変わりました。一方、片山さんにリニューアル前の様子を写した写真を見せていただくと、深緑色のガラスブロックでできた柱に挟まれた、中央手前の階段。そして、上がったところにはガラス扉がありました。まさにアブゴメスが歩いた場所でした。

「有馬温泉ホテル」がロケ地だと、簡単に分かった訳ではありません。いまもえスタッフは昨年秋から調査を始めていましたが、作品の中ではホテル名が分かるようなヒントはなく、エンドロールでも『協力 兵庫県有馬観光協会』とあるだけで、有力な手がかりを得られないまま年を越えてしまいました。

今年の初春、有馬町にある念仏寺の住職、永岡眼心さんを訪ねたところ、永岡さんの知人が「ロケ当時、キャスト陣が中の坊(旅館)に泊まっており、出待ちしてサインをもらった思い出があります」と証言。すぐに「中の坊瑞苑」へ向かったところ、フロントの方が「昔、同じ系列の有馬グランドホテルのほうで仮面ライダーのロケがあったと聞いています」と話されたことから、ようやくたどり着いたのです。



 

最後に2大バトルシーンの舞台を訪ねてみましょう。一つ目は木原博士に変装していた本郷猛と、人間の姿から正体を現した怪人アブゴメスが、ロープウェーの車内で死闘を繰り広げる場面です。


まず本郷猛を拉致し、アブゴメスとショッカー戦闘員らの一行がロープウェーに乗りこんだのは、六甲有馬ロープウェーの「有馬駅」でした。

有馬温泉駅(旧・有馬駅)構内=神戸市北区有馬町1688

滝と木原博士の車が通った背景と同じアングル

今は駅名を「有馬温泉駅」に変えていますが、駅舎から六甲山頂へ登っていく様子は、作中と変わりありません。

滝の車が進んでいった道は「車両通行止め」になっていた

また本物の木原博士を乗せた滝和也の車があった道も残っています。この道を進んでも、実際のところ金慶洞のトンネルへはつながっていません。

「ロープウェーは有馬温泉駅から六甲山頂駅につながっており、バトルシーンも二駅の間で撮られていた」―というのは間違いで、本郷とアブゴメスが空中で戦ったのはこの線上ではありません。六甲有馬ロープウェーは有馬温泉駅・六甲山頂駅間と別に、六甲山頂から六甲ケーブルの六甲山上駅に向かう、もう一つの路線がありました。通称「表六甲線」です。

六甲山頂カンツリー駅の構内=神戸市灘区六甲山町北六甲4512-336

六甲山頂駅から接続する形で、六甲山頂カンツリー駅・表六甲駅間を結んでいた表六甲線は2004年に休止し、現在は有馬から六甲山頂までの「裏六甲線」のみ運行しています。

休止前には表六甲線で働いていたという、六甲摩耶鉄道株式会社の森本将史さんに作中のバトルシーンをお見せすると、「表六甲線で間違いありません。天狗岩駅から表六甲駅までの間でしょう」と言われたので、さっそく天狗岩駅に向かいました。

六甲山頂駅から六甲山カンツリーハウス、六甲高山植物園といったレジャー施設の横を通り、道なりに歩いて約30分強、天狗岩駅に到着しました。

閉鎖された天狗岩駅。立ち入りは出来ない=神戸市灘区六甲山町西谷山1878-64

途中は人気のない車道を通るため、訪れる際には十分な注意が必要です。無人の駅舎を訪ねた理由は、そこに停まったままの「あじさい号」を確認するためでした。

フェンス越しに確認出来たあじさいマーク

「あじさい号」という車名は、ドアから身を乗り出して本郷とアブゴメスが揉み合っているシーンで確認できます。森本さんによると、老朽化に伴い車両は変わったものの、あじさいという車名は代々受け継がれてきたそうです。現場では車名の文字が反対側にあるため確認できあせんでしたが、あじさいマークはしっかり見えました。

 

ロープウェーの鉄塔をくぐって天狗岩の展望台へ

天狗岩駅に向かう道の途中にある、ロープウェーの鉄塔をくぐってみると、駅名の由来である「天狗岩」に到着します。

天狗岩から大阪方面を望む=神戸市灘区六甲山町西谷山1078

東は和歌山方面から、西は明石海峡大橋まで見渡せるすばらしいロケーション。ロープウェーから宙づりとなった本郷が必死に抵抗したものの、最後に転落してしまった場所は、ここから表六甲駅までの間になります。

天狗岩からみた表六甲駅方面。ここで本郷の転落シーンが撮られた

CG技術もなかった当時、生身で撮影されていたことを考えると、ただただ驚くしかありません。アップの映像では、本郷役の藤岡弘さんご本人が演技をこなしたそうです。





仮面ライダーの最後の聖地は、作品の最後に仮面ライダーとアブゴメスが決闘を繰り広げた岩地です。作品では地獄大使が、木原博士と滝に「どうですかな、アメリカのグランドキャニオンにも似たる眺め」と話した「蓬莱峡」には、瑞宝寺公園での調査に加わってもらった藤井清さんにガイドをお願いしました。

 

蓬莱峡を望む=西宮市山口町船坂

蓬莱峡は、映画やドラマのロケ地として今もなお使われ続けています。作品で撮影されていたのは「中心渓」と呼ばれる場所のようです。

しかし、最後のバトルシーンが撮影されていたのは蓬莱峡だけではないようです。映像を見た藤井さんは、人質たちが立たされていたのは別の「白水峡」ではないか、といいます。

「白水峡」の風景。撮影は写真の奥で行われた=西宮市山口町船坂

白水峡は蓬莱峡よりも有馬に近く、さらに荒涼とした景色が広がる岩地です。白水峡と蓬莱峡の見分け方について、藤井さんは「水が流れ、緑も見えるのは蓬莱峡。乾いて周囲が一面岩ばかりなのが白水峡」とのことでした。 

実は藤井さんは当時、白水峡での『仮面ライダー』ロケを見学していたのです。
「岩場から仮面ライダーが飛び上がって登場するシーンでした。作品を見るかぎりカットされたのかもしれません。当時、ロケ隊についていけば見学は自由でした」。
最後に重要な証言を取ることができました。ちょうど仮面ライダーがアブゴメスを倒したように、聖地巡礼をきれいに締めくくることができます。


「ライダー・ニーブロック!」



 

仮面ライダー第71話『怪人アブゴメス 六甲山大ついせき!』の聖地巡礼、いかがでしたか。ロケ地の特定は、多くの地元の方々の協力なくしては出来ませんでした。

仮面ライダーが有馬で撮られていたことを知らない人も、作品を見せると、たちまち「あっ、ここは×××や、今はこうなってるはずやで」と身を乗り出すように応えてくれました。その息遣いが、どれだけスタッフを励ましたことでしょう。また、月日が経っても色褪せない魅力が伝わるということは、名作たる由縁の一つなんだと感じました。

最後に、取材でご協力いただいた有馬グランドホテルの片山哲さん、念仏寺の永岡眼心さん、六甲摩耶鉄道株式会社の森本将史さん、有馬郷土史研究家の藤井清さん、誠にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。

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有馬グランドホテル
〒651-1401 神戸市北区有馬町1304-1
電話番号:078-904-0181 FAX番号:078-904-0297
公式サイト: http://www.arima-gh.jp/

念仏寺
〒651-1401  神戸市北区有馬町1641
入場料:無料、24時間無休

 

六甲有馬ロープウェイ
往復運賃:大人1770円 小人890円 片道運賃:大人980円 小人490円  
始発  9:13 から20分間隔
終発  15:13 (季節により変動)
公式サイト:http://kobe-rope.jp/cont01/cont01.htm

 

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