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2012年6月14日

「ハルキとハルヒ」を出版 作家・土居豊さん

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村上春樹論や阪神間の文学に関する研究で知られる作家の土居豊さん(45)=大阪府豊中市=が、新著「ハルキとハルヒ」を出版した。ノーベル賞候補にも挙がる村上さんの作品と、西宮が舞台とされる人気ライトノベル「涼宮(すずみや)ハルヒ」シリーズの親縁性を解き明かし、魅力の背景を探っている。


「ハルキもハルヒも、東日本大震災後に求められる物語」と話す土居さん=西宮市

 

土居さんは、大学時代に「ノルウェイの森」を読んで以来の熱烈な“ハルキスト”。「村上春樹を歩く」「村上春樹のエロス」などの評論を発表し、村上さんが育った阪神間ゆかりの文学についても広く目を配っている。

一方、西宮出身の谷川流(ながる)さんの「ハルヒ」には劇場版アニメで初めて接し、原作を熟読。「村上作品と重なる世界観がある」と気づいたといい、講師を務める市民講座「西宮文学案内」でも、両者を並べて紹介してきた。

▽男子一人称、阪神間の風景、震災…

「どちらも高台にある高校の出身で、小説の中では学生生活を非日常的だがノスタルジックに描いている」と土居さん。男子の一人称による文体や登場人物の造形、作品に現れる阪神間の風景など共通点を分析する。

また、2人が17年前に直接・間接的に体験した「震災」という視点を導入。作品で展開されるパラレルワールドで「あるべき」理想的な世界が選択されることや、ハルヒの作中の「西宮」に震災の痕跡が全くないことに注目し、「震災がなかった世界の可能性を、広い視野で描こうとしている」とする。

モデルとなった場所を巡る「舞台探訪」など、読者の視点からのアプローチもある。土居さんは「両者を比較して論じたものはこれまでにない。多角的な読み方に、興味を持ってもらえれば」と話している。

大学教育出版刊。A5判、194ページ。2100円。

(2012年6付14日付神戸新聞朝刊、田中真治)

  

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